思わぬ場所から矢が飛んでくる
自分の魂を守りながら生きていくための短歌は、パンチ力抜群。絶望を嚙みしめたあとの諦念とおおらかさが同居している。
────東 直子
明けの明星みてぇなクソガキ
彼女は寝起きでやってきた。まだ歯も磨いてないかも。
この人が生まれる心の何もかもが圧倒的に美しいことを教えてくれる。
────椎名うみ(『青野くんに触りたいから死にたい』漫画家)
【著者プロフィール】
上坂あゆ美(うえさか・あゆみ)
1991年8月2日、静岡県生まれ。東京都在住。
2017年から短歌をつくり始める。
銭湯、漫画、ファミレスが好きです。
Twitter:@aymusk
【5首】
母は鳥 姉には獅子と羽根がありわたしは刺青(タトゥー)がないという刺青(タトゥー)
風呂の水が凍らなくなり猫が啼き東京行きの切符を買った
故郷の母と重なりしメスライオン 深夜のナショナル・ジオグラフィック
沼津という街でxの値を求めていた頃会っていればな
シロナガスクジラのお腹でわたしたち溶けるのを待つみたいに始発
出版社 : 書肆侃侃房; 四六版
発売日 : 2022/2/14
単行本 : 144ページ