original

★著者サイン入りです。
著:山階基
出版社 : 短歌研究社
2010年から2019年までの短歌作品346首を収録。
心にふれる、という言葉がこんなに似合う歌はないと思う。
──東直子(歌人)
もといくんの歌集の中で暮らしたい ゆくてのシャツを乾かしながら
──枡野浩一(歌人)
【歌集より】
ほっといた鍋を洗って拭くときのわけのわからん明るさのこと
乗るたびに減る残額のひとときの光の文字を追い越して行く
菜の花を食べて胸から花の咲くようにすなおな身体だったら
三基あるエレベーターがばかだからみんなして迎えに来てしまう
ないような夜と海とのあわいからちぎれる波に洗われていた
恋人をまじえて水炊きをかこむ呼びようのない暮らしの夜だ
夕闇にしずむこの世のおみやげに吊るしたシャツは風が抱き取る