
著:トマス・ピンチョン
訳:佐藤良明、栩木玲子
出版社:新潮社
発売日:2021/5/26
今度のピンチョンは9・11+家族小説!? 76歳にして新境地開拓の超話題作。ITバブルは弾けたが新世紀の余韻さめやらぬニューヨークで、子育てに奮闘する元不正検査士の女性。知人の仕事を手伝い覗いたネットの深部で見つけたのは、不穏なテロの予兆だった。NYの、そして世界の運命は肝っ玉母さんの手に――オタク的こだわりと陰謀論にあふれる、謎に満ちたアメリカ文学の巨人が放つビッグバン。
トマス・ピンチョン
1963年『V.』でデビュー、26歳でフォークナー賞に輝く。第2作『競売ナンバー49の叫び』(1966)は、カルト的な人気を博すとともに、ポストモダン小説の代表作としての評価を確立、長大な第3作『重力の虹』(1973)は、メルヴィルの『白鯨』やジョイスの『ユリシーズ』に比肩する、英語圏文学の高峰として語られる。1990年、17年に及ぶ沈黙を破って『ヴァインランド』を発表してからも、奇抜な設定と濃密な構成によって文明に挑戦し人間を問い直すような大作・快作を次々と生み出してきた。『メイスン&ディクスン』(1997)、『逆光』(2006)、『LAヴァイス』(2009)、そして『ブリーディング・エッジ』(2013)と、刊行のたび世界的注目を浴びている。
佐藤良明
1950年生まれ。フリーランス研究者。東京大学名誉教授。専門はアメリカ文化・ポピュラー音楽・英語教育。代表的著書に『ラバーソウルの弾みかた』。訳書にグレゴリー・ベイトソン『精神の生態学』、ボブ・ディラン『The Lyrics』(全2巻)など。〈トマス・ピンチョン全小説〉では7作品の翻訳に関わっている。
栩木玲子
1960年生まれ。法政大学教授。専門はアメリカ文学・文化研究。著書に『現代作家ガイド ポール・オースター』『国境を越えるヒューマニズム』(ともに共著)など。訳書にアリス・マンロー『愛の深まり』、トム・マッカーシー『もう一度』、ジョイス・キャロル・オーツ『ジャック・オブ・スペード』、トマス・ピンチョン『LAヴァイス』(共訳)、アンナ・バーンズ『ミルクマン』など。